うーん、私が現役ファンだったら楽しめたかな・・・曲名や人名からぱっと思いだせるとか、ポールの言葉ならなんでもありがたいとか。あんまりサプライズないし、ポール自身の発言は紙面の半分くらいだし、といって客観的史的考察は弱い(と感じられる)し、中途半端な感じ。でもいちおう全部読んだ。 なんでこの類の本や記事はみんな「ロッカー口調」なのかというのが最大の不満。波乱万丈の人生を70年以上生きてきた、知性と創造性を兼ね備えた人物の口調じゃないだろう。いや実際若々しくてカジュアルでフランクな話し方なんだとは思うけど、でもねえ。意味だけなら英語を読めばまあわかるんだから、翻訳者に期待するのはニュアンス、声をとらえて再現してくれることなんだ。 印象にのこったところ: アンソロジー製作時、リンゴがナッツの袋をもってうろうろしてた話。ハンブルグの頃はリンゴが兄貴分で煙草も酒も車も一歩先を行っていた話。 (ビートルズは)民主的になれたんだ。 だけどうぃんぐすはそうじゃなかった。振り返ってみると、それが理由だったのかもしれない。ぼくは民主的な方がうまく行くと思う。独裁的だったわけじゃないけど、ぼくらはけっして平等じゃなかった。ミュージシャンとしてみると、ぼくらの実績はまちまちだった。だからもしかするとそれが、根本的な理由だった可能性もある。(p. 199) 半分まで行ったところで、ぼくはマズいと思いはじめた。でも今さらあともどりはできない。・・・もうずいぶん時間がたってるから、今はもう、とくに気落ちするようなことはない。いくつか、やってよかったと思えるところもあるけど、基本的には不出来な映画だ。それ以外、どう言えばいい?ほら、ジョージだって『上海サプライズ』をやってるだろ。ちょっとしたしくじりをやらかしたときは、正直にみとめるのがいちばんなんだ。(p. 470) ぼくはドラムを叩くのが好きだし、シンプルなプレイに徹していれば、それなりに……そこが僕のドラミングのポイントで、ほかにはあまり売りがないけど、フィーリングだけはあるとおもう。(p. 447) 自伝・伝記ってジャンルは中年頃から面白くなるのかもしれない。優れた自伝・伝記とはどんなものなのか、評伝と違う意義はなんなのか。これから気にして読んでみようか。 うーん、とりあえず考えると、自伝の意義は主観に徹すること