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私の好きなライブ群

Art Garfunkel の昔の良いライブ録音を YouTube でみつけた。
1978年、フロリダ州Lakeland Civic Center でのものらしい。
会場録音としては音質もクリアだし、アートの声は素晴らしく伸びやかで絶好調という感じ。
ソロになって数年は「セットリストを組めるだけの作品がないから」とコンサートをしなかったんだよね。なんて控え目かつ完璧主義なんだ。

Live at the Bluebird Cafe2003年9月1日、Maia Sharp と Buddy Mondlock とのトリオで出演したケーブル・テレビの特集番組。
会場の雰囲気も、3人のリラックスして親密な様子もすごくいいし、DVDで発売されないのかなあ!
プレイリスト末尾につけた Speaking Freely におけるライブといい、 Everything Waits To Be Noticed は、CDと全然違う魅力がライブ版にあるんだよね。CDの重厚リッチな楽器編成に対し、アコースティック・ギター(とMaiaのオーボエ)だけを背景に、ボーカルのバランスとか、ハーモニーのアレンジも違っててそれがまたいい。ハーモニーの達人3人が曲の可能性をやすやすと切り開いて見せてくれる。

再結成ものでは2003年のCecilia!それから2009年10月29日、どちらもマディソン・スクエア・ガーデンにて。2009年はロックの殿堂25周年イベント!艶っツヤ!ノリノリ!
このあと日本を含むツアーが行われて、今回は喧嘩別れにならず、アート自身満足する結果だったというのに、すぐ翌年に声が出なくなるとは(涙)。

しかしそれから5年、2015年9月16日のLiverpoolでのライブ。相当良い!すごいすごい!
なにがすごいって単に回復したのでなく、新境地を開いているところ(回復というなら、本当のところ元の声には戻ってないし、戻らないだろう)。復帰にあたって、完璧主義を(いくらか)緩め、「I’m a more self accepting human being. I can accept a little imperfection and feel okay. 」(2014 RockCeller)というのが実によく作用して、かつての精密さから想像できない、自由に遊ぶ歌いぶり。Tab Laven のギター旋律のうえを優雅に舞う鳥のようだ。


一方これは・・・ 1993年11月6日、カリフォルニア州でのチャリティ・コンサート・・・うわーん、怖いよう。ニコリともしないし、フレージングは噛みあわないし、握手もなしに去る二人・・・。
アートは辛うじて愛想よくする努力が感じられるけど、不機嫌さと隠そうともしないポールときたら全くもう本当に・・・。会場からアートの誕生日(前日)を祝う声があっても「Happy birthday to Artie. That's right.」で終わり。

これが、10月にポールの振り返りコンサートに客演し、好評につき更に21公演が行われた、その翌月のことで、このあと日本とシンガポールも回ったそうだけど(公式 web site )、この時点ですでに10年間の絶交につながる
"We had a terrible fight, the worst ever. In the past, we used to have some rather heated and very tense arguments, but we never actually shouted at each other until our tour in 1993 turned sour and we called it quits - maybe for the last time." (Telegraph, 2003 )
という事態だったのかなあ。
アートの声が素敵に中年の円熟味を出していて(もちろんポールも)、また彼がライブに積極的になったのもこの頃からで、うまく二人が調和していれば81年とも2003年とも違う充実感ある音になっただろうに・・・つくづく惜しまれる。2003年も2009年も素晴らしいけど、50代の彼らはまた違うから。ちょっと脂ぎっててそれがいいっていう。


アートのライブに積極的な発言を時系列に拾ってみた:
  1. I'm really coming of age as a stage performer. I'm happy to show that I'm a thinking musician. I talk to the audience more comfortably now, and I just love being the bandleader - controlling the pacing.(Datyon Daily News, 1998)
  2. "After doing hundreds of shows in the '90s, I know how to approach a mistake now," he said. "The blood doesn't drain from me anymore. That's information that I use to do it better the next time. I laugh at it, and just go on. I'm enjoying the elbow room. I always was very autonomous, and I had to subvert that to the very talented Paul Simon."(Sarasota Herald Tribune 1999)
  3. When you took your first flight, didn't it feel weird to be in this iron capsule up there? Kind of bouncy and dangerous? But something in repetition inures us to the fear. You just finally calm down if you do it enough. In my case, the first 17,000 times were not enough. But slowly you get to feel mistakes are good. Some of them are awful, like, to miss the words in a big ballad. But fortunately it's never happened to me. My wife told me, generally when you make a mistake the audience really looks in on you. They feel this is the unscripted stuff. So those become golden moments more real than anybody expected. It's fun to play with it. I'm finally relaxed enough to have it in my command.(SFGate.com 2003)
  4. Right now, I am trying to master stage performing. I want to be a very cool hour-and-a-half attraction. (2004 website interview)
デビューから30年経ってようやくライブに前向きになるとはいじらしい。しかしやると決めたらガンガン予定入れて10年かけても習熟する一徹さが、彼の真骨頂で魅力的なところ。 上にあげた、Everything Waits to Be Noticed ライブ、2003年・2009年の再結成ライブはその見事な成果だし、声を失ってからの再起も、ライブに取り組んだこの10年間がなければ不可能だったはず。誉むべきかな人生の妙。 3つ目の発言で触れているように、女優でもある奥さんの後押しが効いたのかな。 話題からそれるけど、このインタビューとってもいい。お定まりの質問は一切なし。「徒歩の旅では、翌日再会する目印にペグでも刺してるんですか?」「特別な靴を使ってるんでしょ?」「どうやって宿を見つけるの?」などなど、率直で具体的な問いに、アートも楽しんで答えている。 私の経験でも、徒歩の旅って皆「よくやるね~」「すごいね~」って言うばっかりで本当に関心持つ人はほとんどいないから、こういう反応は嬉しいよね。 2つ目の発言をみると、不本意に終わった1993年ツアーとサイモンへの対抗意識も発奮材料だったと推測したくなるけど、まあネガティブな感情だけで走り続けるのは無理があるから、ある面ではそうともいえる、くらいか。 1998年時点では、まだだいぶ怒ってたみたいだから(ここでも露骨に怒ってる)、必要以上にキツイ表現に口が滑ったかも。(「僕はいつだって自分のことは自分で決める人間だったけれど、かの才気溢れるポール・サイモンに対しては自主性を明け渡すしかなかった」という感じか。そこまで辛辣ではないか?いやどうだろう。)

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