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2013/01/27

有機農業フォーラム2日目
夫が子どもをドライブに連れて行ってくれて、落ち着いて聞けた。ありがたい。

土壌微生物多様性で土を評価する (横山和成さん)

「多様な微生物が棲む土ほど、植物が病気にならず元気に育つ」という仮説を立証すべく、多様性の尺度を考案し、それでもって各地の畑を観測してきた。結果、実際に多様性の高い畑ほど病気が少ないとわかった。というお話。面白かった。
こちらに詳しい(DGC総合研究所)

土壌微生物のDNAを染色し紫外線で発酵させた10μm四方の写真が、まるっきり星空のようで感動した。足元に広大な宇宙が広がっているんだ。

  • 角砂糖くらいの土(1グラム)に億~兆の微生物がいる。その種類は1000以上。
  • 健康な土は、その重さの1割が微生物である。
  • 土壌微生物の9割方は培養できず、個々の種として調べるのが難しい。
  • 同時に、種類が多すぎて、群として調べるのも難しい。
そこで「種は特定できないけど、とにかく色んな種類がいるかどうか」を考えることにした。その方法:
  • 辛うじて培養できる微生物からランダムにサンプルとって
  • 糖やアミノ酸など各種有機物の分解能(つまり、何を食べるか)を調べる
  • 食べるものが似ているなら、その微生物同士は似ている、と考える
  • サンプルした微生物の多様性は、元の土の多様性を反映するはずだ
元の土に何がいるか特定はできないけど、サンプルに色々いるなら元の土にはもっと色々いるんだろうし、サンプルに限られた性質のしかいないなら元の土にもそれほど多様な微生物はいないだろう、ということ。

同じものを食う微生物ばかりが棲む土では、餌になりうる有機物がたくさんあっても少しの微生物しか生きられない。微生物密度がスカスカ。そこに病原菌がするっと入り込んでしまう。

就農準備給付金、小川町の新規就農など (農水省、農業委員会)

年間150万円の給付金、農林公社が本人に代わって2年間30aの土地を借りてくれる支援策など、本気でやるなら全面バックアップしたいんだなあ。それくらい危機にあるってことだ。
しかし私の場合、育児との兼ね合いで実際つぎ込める時間は限られ、こういう施策が想定する「就農」には届かない気がする・・・3年後ならできるかな?

研修中、就農した若手の体験談

時間を割けなくてもやっていけるか?聞いてみた。
自分のできるペースで少しずつやっていけば全然大丈夫じゃないですか?共同の直売所には500円分、1000円分で出荷する人もいる。まず野菜ができて、じゃあ大豆も作ってみようか、米もやろうか、って段々ひろげていけば・・・と言ってもらって、でもまあ不安は不安のままなんだけど、まあやっていこう。


こういう場って、農業って知的な営みであると実感できてうれしい。頭と手の両方で考えてる人達だ。心も。心技体か。
あと、苦労はしてもクヨクヨしてなそう。季節がどんどん進むから落ち込む暇はないんだろう。草は刈っても枯れても生えてくるし、日はまた昇る、そういう中で働くからでもあるか。

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